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「ソーシャルビジネスグランプリ2016」を取材 [社会起業家]

2016.2.28 sun

新橋のヤクルトホールで行われた「ソーシャルビジネスグランプリ2016」の模様を見に行ってきました。

その概要と結果は社会起業大学が発表したレポート↓に詳しいので、まずはこちらをご参照ください。
http://socialvalue.jp/final/2016_report/

「ソーシャルビジネスグランプリ」を主催するのは、次代の社会起業家を育成するビジネススクール、社会起業大学。

ソーシャルビジネスに精通した有識者による講演や、実績を評価された政治起業家の表彰や活動報告、そして社会起業家の原石たちによるプレゼンテーションを中心に、参加者による投票等を行う参加型イベントです。

以前、この大学に密着取材をさせていただいたご縁で、今回、ご招待をいただき、かれこれ3年ぶりに会場に足を運びましたが、あの頃とはだいぶ趣向が変わっていて、数段内容が濃くなり、スケールも大きくなっていましたね。

今年はヤクルトホールで盛大に執り行われました。学長の田中勇一さんは、今回から出直すつもりだと、気合の羽織袴姿で登場されたのが印象的でした。

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以前と違っていたのは、「政治起業家グランプリ」受賞者の表彰も兼ねているところ。「政治起業家グランプリ」とは、社会起業家の中でも特に政治のあり方の変革に取り組む人を表彰するもの。デモクラシー2.0イニシアティブを中心に半年間のフィールド調査の結果、決定されるとのことです。

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今年の「政治起業家グランプリ」の受賞者は、なんと元サッカー日本代表監督で現在はFC今治オーナーの岡田武史さん。岡田さんは、愛媛県の今治でサッカーチームを運営しながらも、サッカーを通じて今治の地域活性化に貢献されていて、その取り組みは地方創生のモデルとして全国的に注目されているそうです。

この日、グランプリ受賞者の岡田さんも愛媛から来場し受賞のコメントを述べられました。
また審査委員長の田坂広志さん、そして2014年のグランプリ受賞者、藤沢久美さんを交えた鼎談も壇上で行われました。

その席で、岡田さんはFC今治のオーナーになったいきさつや苦労話、そして現在の活動内容について語られました。個人的に興味深かったのは、「身銭」を切って事業を動かしていくことの難しさについて語られる姿でした。

サッカー監督のお仕事では、選手に任せることこそ指揮官として当たり前の仕事とわかっていたのに、経営者になると自分のお金がかかっているんだというプレッシャーがあまりに強大で、何事も部下に任せきれず、全部自分でやろうとして大変なことになってしまったとか。

スポーツ界で世界的な偉業を成し遂げた人物が「たとえ小さな組織でも、経営は代表監督より難しい」としみじみと語るお話にはリアリティがあり、観衆を惹きつけていました。この鼎談は1時間程度行われましたが、まったく飽きさせないものでした。

その後はメインイベントである、社会起業家グランプリ最終候補者5組によるプレゼンテーション。
見事グランプリに輝いたのは、「すべての逆境を価値ある体験に。すべてのコンプレックスを魅力に。」と題して、がん患者のためのおしゃれなケア用品の販売事業を営んでいる塩崎良子さん。

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幼いころからファッションが大好きだったという彼女は、六本木に洋服のセレクトショップをオープン。その事業が軌道に乗ってきたある日、乳がんを宣告され闘病生活を余儀なくされてしまったそうです。夢だった店をたたみ、抗がん剤治療で髪の毛を失い、放射線治療で皮膚の色が変わっていく自らの姿を見て、彼女は絶望の淵に立たされてしまったそうです。

ところが、そうした闘病生活の中で、がん患者のための帽子やウィッグその他ケア用品に、お洒落なものがないことに気づきます。「お洒落なグッズを身につけるだけで、がん患者の気持ちは明るくなるのに…」と思ったところから、彼女の意識は変わっていったとか。無事がんを克服した彼女は、すべてのがん患者のために、お洒落なケア用品を作ろうと決意し、事業化に踏み切ったと語っていました。

元がん患者の方々にモデルになってもらい、ご自身が製作した洋服のファッションショーを実施したことも。その話題は数々のメディアで紹介されています。

この日、塩崎さんは、ご自身がデザインして作成したピンク色のドレスを身にまとって登壇。美しいドレス姿で、自らの体験と事業プランを説明する姿には、思わず感動してしまいました。そのプレゼンは多くの観客の共感を得て、グランプリとともに共感大賞にも輝き、W受賞となりました。

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ただ、塩崎さんに限らず、今回、最終選考にエントリーされた5組のプレゼン、それぞれすばらしい内容でした。

以前は、グランプリ候補に残ったプランであっても、ビジネスモデルのイメージや完成度にばらつきがあるように感じたものですが、今回はどの登壇者からも、何をしたいのか、何を変えたいのかが明瞭で、事業にかける「熱」もよく伝わってきました。

一時的なブームとして取り上げられることの多かったソーシャルビジネス、社会起業家ですが、今回のイベントを見終えた時、この流れは一時的な熱量の表現ではなく、文化というものに昇華、定着しはじめている、その兆しを感じました。

特に、今回の特徴としては、自らの過去をカミングアウトした上で、ジェンダーの問題を解決する起業プランを提案したり、親からの虐待から逃げ場所を作る仕組みづくりを訴えたりと、女性のプレゼンターが原体験の意味を深く見つめたところから提案される、社会課題解決のための事業プランが目立っていたことです。

社会起業大学では一貫して、学生たちに自分だけが持つ「原体験」を深く見つめることを求めます。人にはそれぞれ、つらい体験があったり困ったりした経験があります。その一つひとつが社会をよりよくする事業の芽になると教えます。その大学としての理念が、しっかりと息づいていることを感じました。

最後に、審査委員長の田坂さんが総評をされた時、「社会起業家には成し遂げるべき2つの事業がある」というお話をされたのが、身に沁みました。田坂さんのコメントを書き上げておきます。

「1つは、言うまでもなく目の前の社会を少しでも良きものに変えることのできる事業、ソーシャルビジネスです。ただしもう一つ成し遂げるべき事業があります。それは、ひとりの社会起業家として、ひとりの人間として、いかに生きたか、その後姿だと思います。次の世代にわれわれの後姿を見ている方々が勇気を得て、自分もその様に生きてみよう、と思っていただける、そんな生き様こそ、社会起業家が成し遂げるべき一番大切な事業ではないかと思います」。

なんとも力強く、心に訴えるお話ですね。胸が熱くなりますよね。社会起業を目指すすべての人に送る、最高のエールだと思いました。

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今年の「ソーシャルビジネスグランプリ」は見ごたえのある、実り多きイベントでした。
これからがますます楽しみです。

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